生命の音霊(おとだま)  尾崎元海

 山霊やまだま山神さんしん
 山々を創造した神のひびき、それぞれの山にしずまる神霊の働きの気高けだかさは、人間を崇高な精神に高め上げる。高き山、低き山と様々であるが、かつての海底の隆起や火山活動、風や雨などの力によって変化し今に至った。
 山は不可思議な力を持つもので、人間に親しみを感じさせると共に、人間に生きる厳しさを伝えてくれている。人に、人生や生きることの根本を日々教え導いてくれている山々に、しっかりと心を向けていかなければいけない。このことの大事さを直感的に掴んでいる人もいるが、多くの人々はまだ充分に気づかず、日常の習慣性の渦の中でもがいているように思える。
 これは知識が多い人ほど、心掛けてゆく必要がある。絵画や写真などの芸術表現などの優れた作品にも数多く触れ、その中から山々が発し続けている重要なメッセージを受け取ってゆくことがことのほか重要なのだ。そうしていくことによって、風雨にも動かず、大地に盤石ばんじゃくに座る山の氣を我がものとすることができるだろう。
(風韻誌2017年11月号)