生命の音霊(おとだま)  尾崎元海

 
 水は宇宙万物の源。地表の七十三パーセントを占める水は、人間と動植物の成分の大部分を占め、万物を生き生きと活動せしめている原動力である。水は大生命の物質界での働きの根源を為すエネルギーであり、人類にとって、これほど尊いものはない。自然界のあらゆる生命体に代わって、人間は大生命(神)に深い感謝を捧げる役割がある。
 水に対して拝む心が深くなれば、水は人間に真理の奥深い世界を伝えてくれる。水は神のみ心の自由自在心を、人間に見せて下さっているにもかかわらず、その真意を掴む人はきわめて少ない。水は高きより低き場所に流れていく。その姿は真理の高い道も、低い人間世界の心の中に流し入れるようにし、各人の様々な心に合わせて、柔らかく浸透させることの大事さを伝えてくれている。円い器、四角い器、三角形の器にぴったりと流れ入る水の動きを見れば、実に明らかである。人間の実体である本心(神のみ心)を見事に表現している水は、神そのものの尊い有り様なのだ。このことを真剣に受け留めるなら、人類の進化は限りなく深まってゆくだろう。
(風韻誌2017年9月号)