生命の音霊(おとだま)  尾崎元海

 樹木じゅもく木霊こだま
 樹木のありがたさを深く知っていけば、人間の精神性はどこまでも深まってゆくだろう。
現代の人々が主要なエネルギーとして使っている石炭、石油、天然ガスは古代に生存していた植物が変化した物質である。人間の今の便利な生活を支えている物が正に植物であることを深く感謝すれば、自然と感謝の心が深まってくる。
 又、自己の周囲に植わっている木々を見れば、人間の肉体を支え、心を向上せしめていることは一目いちもく瞭然りょうぜんである。植物の持つ霊的エネルギーは、人間の魂を清め、体を活性化して下さっている。目に見えぬものに感謝することができない者でも、目に見える樹木には感謝できるはずだ。木々には精霊が宿り、樹齢の長い木には大いなる神霊がしずまっていることを認めていけば、人間の唯物的観念は浄まり去ってゆくだろう。
(風韻誌2017年9月号)