日本の自然と天命  木村純子

 六月の初めに、実家の田植えの手伝いをしました。最近は、田んぼをやめて住宅を建てるところも多く、昔に比べて田んぼも少なくなってきました。それでもこの季節になると、あちこちで田植えの光景が見られ、梅雨時の日本の風景を感じ、とても心が落ち着きます。
 なみなみと水が張られた田んぼに、黄緑色の早苗が、規則正しくちょこんちょこんと植えられていくと、辺りの景色が一変します。あめんぼなどのいろんな虫が、水田を伸び伸びと動き回り、蛙さんたちがぴょこぴょこと跳ねています。白鷺や鳥さんたちもやってきて、〝田んぼって生物の人口密度(?)が高いなぁ〟と見ていると嬉しくなります。
 田んぼの前で、大地の神様、水の神様、太陽神様に感謝していると、自分も自然の中の一部なんだと感じられ、日本が持つ柔らかい調和した風土の素晴らしさを感じずにはいられません。
 五月十七日に行われた「日本国の平和と自然界の調和の祈り」の行事で、晃久さんが五井先生のお話を紹介されて、日本の天命について話されました。今年の行事は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、各自それぞれの場所で時間を合わせてお祈りをし、元海先生と晃久さんが収録して下さったお話を個々に拝聴しましたが、そのお話に大変感じ入るものがあり、田んぼの風景を見ながら思い出していました。
 日本の役割について、五井先生が日本の自然に触れ、このように話されているところがあります。
 「日本の山というのは、大体が柔らかい感じ。樹木が茂ってましてね、必ず森や森林がありますね。ところがアメリカはもちろんですけれど、ヨーロッパも大体において、尖った山ね。いわゆる岩山が多い。アメリカなんかはそうですが、岩山がとても多いんですよね。それで樹木が茂った柔らかい感じがしないのです。そういうのを見ましてもね。自然の状態というものは、日本の地というのは柔らかい、調和した、温和な、そういうものを自然の姿も持っています。
 アメリカ、ヨーロッパは全部がそうじゃありませんですよ。私の見た限りでは、やはり日本と違った風土と言いますか、日本と違った役目を持っていますね。あの自然を見ますと、その国の役目がわかりますね。」
 五井先生が、日本は調和を創る国であり、それが日本の自然にも現れていると話され、改めて自分の周りにある山や田んぼなど、身近な自然を見つめ直し、〝なるほど、五井先生が仰しゃる通りだな〟と大変感じるものがありました。穏やかな柔らかい、全てを包み込むような、まあるい調和したものを、日本の風土は持っているんですね。
 そして私達は、いつも自然に包まれて、そのひびきの中で生きているのです。日本の自然の姿が、日本の天命をそのまま現して下さっているように、私自身もそうありたいと強く思いました。日本が、世界の大調和を創るという本来の役目を果たしていくためにも、私達一人ひとりがそのひびきを現していくことが、何よりも大切なことだと思うのです。世界全体が大調和の方向に転換していく今ほど、その役割が必要とされている時はないのではないでしょうか。
 では、どうすれば、自分自身がその方向にスムーズに進んでいくことができるのか。その方法として、五井先生は〝消えてゆく姿〟を教えて下さいました。
 元海先生は行事の中で、五井先生が説かれた〝消えてゆく姿〟の理解とその徹底こそが、最も重要なポイントであることを話して下さり、これから益々〝消えてゆく姿〟の実践を丁寧にやっていきたいと強く思いました。
 今号の光風88に元海先生が書いて下さっていますように、五井先生が説かれた〝消えてゆく姿〟というのは、想像を越えた深遠な世界です。広大な深い世界だからこそ、焦らず、慌てず、一歩ずつ落ち着いて進んでいこうと思います。五井先生は、〝どんな不調和なことが目の前に現れたとしても、一切合財過去世の業生の消えてゆく姿であって、真実のものではありません。それはもう無いんです〟と教えて下さっています。もう既に無いものを本物と思って、それを掴んでわーわー騒いでいるのが、今の世界の現状であり、以前の私もまったくその通りの状態でした。
 真実存在するのは神様の光のみと、元海先生も繰り返しお話し下さっています。神さまの光、即ち「世界平和の祈り」ということですね。
 「世界平和の祈り」を祈るということは、真実なる世界、大調和なる世界を瞬々創造しているということです。と同時に、過去世の業波動を浄め去っているのです。その偉大なる役割を、祈る人は与えて頂いているということなんですね。この世に、これ以上の素晴らしい役割は存在するでしょうか。
 その役目を与えられていることに心から感謝し、日本の天命であり、世界の天命でもある大調和という光のひびきを、益々大らかにひびき渡らせて参りたいと思います。
(風韻誌2020年7月号)