妥協と調和  木村純子

 一月二十一日の五井先生のお話を聞く会で拝聴した「妥協と調和について」のお話は、大変興味深い内容でした。
 実際に日常生活の中で、ここは妥協すべきか、それとも自分が正しいと思うことを通すべきかと、悩むことがよくあります。なかなか自分の気持ちに折り合いがつかず妥協ができなかったり、また仕方なく妥協したものの、いつまでも心の中にモヤモヤが残っていたりということが度々あります。それが真理に沿っていないと思うことであれば気持ちに拍車がかかり、度が過ぎて家族の中で浮いてしまい、調和を乱してしまうことも以前はありました。
 そういうこともあり、五井先生が「本当の調和をした人には、妥協というのはないんですよ」と話し始められたのを聞いて、「えっ! 妥協がないとはどういうこと⁉」と、大変驚きました。
 続けて五井先生は、「例えば、種々の事情があって人の我儘わがままを通してやったとしても、本当に調和をした人は、〝相手の方の天命が完うされますように、どうか皆が幸せになりますように〟という祈りがありますから、その祈りの光が向こうに入っていきますね。すると譲ったように見えても、向こうは知らない間にこっちに感化されていくんですね。するとそれは妥協であっても、そのまま調和になっているんですよ」と話されました。
 本当の祈り心があれば、形は妥協のように見えても調和をしているというお話に、今まで悩んでいた自分の気持ちが救われたような気がしました。そして、五井先生のみ教えの懐の深さと、現実生活の中で無理なく実践できることに大変感動しました。
 〝本当の世界というのは、妥協なしで全てが調和でやっていく世界です〟と五井先生は話されていましたが、今の地球世界は、まだその世界に向かう途中段階です。そういう中にあって、これは真理だ真理だと一人で頑張ってしまうと、周りから浮いてしまい、却って不調和を作ってしまいます。
 そこで五井先生は、「形が妥協に見えても、そこに祈りが加わると妥協が調和になっていくんですよ。相手を祈りながら妥協することも必要ですよ」と、本当に優しく、私達が日常の中で真理を実践しやすいように教えて下さっているのです。
 妥協するしないという形や自分の主張にこだわらず、常に相手の天命を祈り、皆が幸せでありますようにと世界平和の祈りを祈っていくことが、本当の調和に繋がっていくんだと思いました。自らが祈りの光を放射していくことが、何よりも大事なことなんですね。これは、私達が日常の中ですぐに実践していくことができる、とても大事なお話だと思いました。
 また五井先生は、日本の軍備のことについても触れて下さいました。
 「日本は大調和の国、大和の国ですからね。本当は軍備がなくて、平和憲法を守って、自衛隊も何もなくていくのが本筋でしょう。ところが実際問題としては、自衛隊もあるし、敵のように現れている共産主義の国もありますね。そうすると、政府やある種の人間の感情として、自衛隊も軍隊も必要じゃないかと思う人が随分あるわけです。そこへもってきて、自衛隊もなくなってしまえと突っ張ったとしますね。妥協しないでね。そうしますと、そういう人達は浮きますね。だから、妥協を少しして、自衛隊は仕方がないとね。そういう形で妥協していることが随分あるんですよ。
 本心とすれば、軍備など全然いらないわけですよ。平和の祈り一筋で何もいらない。もし敵が攻めてくるとするならば、もし滅ぼされるとするならば、それは日本という国がもう必要ないんだから、そのまま滅んで皆で天国へ行きましょう、というところまで腹を決めてるわけです。ところが実際問題としては、それではこの社会に、この日本という国に住んでいられなくなりますよね。浮いてしまいます。あんまり頑固に自分の主張を通しますと、世間と相容れない、敵がたくさんできるわけで、また不調和になってしまうわけです。だからそこに、何分かの妥協が必要になってくるんですね」と、このようにお話し下さっていて、大変感じ入るものがありました。
 当時は昭和四十六年で、今から四十七年前のお話ですが、今の日本の状況も全く同じではないかと思わざるを得ませんでした。五井先生が仰しゃるように、〝世界平和の祈り一筋で何もいらない。これで日本が滅びたら、いさぎよく皆で天国へ行きましょう〟という決心は、平和の祈りをしている人の心の奥にあると思います。しかしそれだけでは、社会や周りと調和して生活をしていくことが難しい場面があります。
 だからこそ、世界平和の祈りをしている私達の大きな愛の心と、深い祈り心が必要になってくるのだと思います。政府がどのように動こうとも、周りの国々や世界がどうあっても、〝必ず日本国の天命は完うされるんだ、世界は必ず平和になるんだ、全ての人類が幸せでありますように〟という平和の祈りを自信を持って祈り続けることが、最も大事なことであり、私達の使命だと思います。その祈りの光が、やがては大調和の道に繋がっていくのだと、五井先生のお話から確信いたしました。
(風韻誌2018年5月号)