人生の記 尾崎元海

 十一月二十日
 法話会に飾った花を、家にある小さなガラスの花器に活けてみました。ピンクが一つ、黄色が三つのバラの花と、白っぽいカーネーションが一つです。始めのうちは何気なく眺めていましたが、先日じっと見つめているうちに、気が付いたことがあります。それは、自己主張が強いというか個性が強いバラと、カーネーションの優しさの、ひびきが見事に調和しているんですね。カーネーションが他の花を包み込み、全体を活かしているんです。この花は、秋の七草の一つの撫子なでしこに似ていて、派手さはありません。人間も万人万物を調和させるひびきをかなでるようになれば最高だと思います。
 一般に才能、能力がどうのこうのと言いますが、どのような能力も周りの人々や物質に調和の光を流し入れている人にはかないませんからね。なぜなら、そういう人は内奥の神さまの大調和の光を発現しているんですから、これ以上のものは存在しないんです。ということは、祈り一念で生きる人は、本当の自信を持って悠々と生きていけばいいんですよ。

 十一月二十四日
 駐車場が枯れ葉や落ち葉でよごれていたので、掃除をしていた時のことです。奥に植木が所せましと植わったコーナーがあるのですが、一見すると雑然としているんです。最近は手入れもできずなんですが、それがかえって互いの木が自由に活動して、全体としてはバランスが取れ、見ていて心がほっとするんですね。
 何気なく見ていると、赤い小さなバラの花が寒風に負けず二つ咲いていました。バラもこういう場所で咲いていると、その個性は可愛らしく、かれんなひびきを発しているように感じます。植物もそうですが、人間も又、場所や環境が変わると別の側面も見えるんでしょうね。何事もじっくり観察していくことが大事だと思ったことです。

 十二月一日
 季節は晩秋から冬へと一気に変化してきましたね。昨日から風が強くなり、雲の流れも冬模様になっています。こういう気象が変化する時期というのは、自然界の活動が肌で感じられますから、私は好きですね。原稿を書きながら思うことは、〝自然が活動する、生命が躍動する、神さまが生きている〟ことを直視する瞬間は、ほんとに素晴らしいということです。
 神さまは有るも無いもなく、今まさに自己の眼前に展開し、人間の内なる神性を目覚めさせようと為さっておられます。季節が変わっていくのは当たり前と思っていますが、その奥に働く大いなる力、智恵が身にみ込んできます。〝秋の神さま来年まで、冬の神さまこれから少しの間お願いします〟と、心の中で祈っていました。

 十二月八日
 今年も残すところ、半月あまりになってきましたね。無事に一年を過ごすことができて、ほんとに幸せなことだと思うばかりです。コロナ禍の中で法話会を休んだ日もありましたが、おおむね会の行事を行うことができました。これはメンバー全員の真心と情熱のおかげと、それぞれのご家族の支えがあってこそであって、感謝でいっぱいです。
 最近つくづく思うことですが、すべては周りの人達の恩恵によってできているんだということが、心の底から感じております。これは、この世の人だけではなく、霊なる世界からの大きな応援があったればこそであることは、言うまでもありません。それと、五井先生、神々さま、守護の神霊さまや、あまたの諸神善霊によって、数多くの神事が為されたわけです。
 肉体側の私から見れば、〝ご恩うれしや、世界平和の祈りさま〟ですね。神さまからコスモス会に与えられた天命を完うするために、きたるべき年も、みんなで力を合わせて祈り一念の道を進んでいきたいと思っています。”ありがたい、ありがとうございます”。
(風韻誌2023年1月号)