「世界は混然(こんぜん)一体」  尾崎元海

 二月三日は節分で、私も小さい頃は、「福は内、鬼は外」とますに入れた福豆をいたことを覚えています。そういう習慣は中々いいものですね。時代が変わっても、家族みんなが心を合わせて幸せを願うというのは、心があったかくなり、ほっとした気分になります。足を地につけた生き方を通して、一歩一歩前に向かっていくということは、宇宙の進化に沿っていて大事なものだと思います。
 節分が過ぎると寒明けで立春になりますが、しばらくすると草木は芽吹きが見られ、吹く風に心なしか春の予兆が感じられます。まことに早春というのは、心ひかれる季節ですね。我が家のかえでは、十二月の半ば頃に葉っぱが全て散ってしまい、丸はだかになり大地の生命に同化してしまいました。それが月日もあまりたないのに、枯れたように見える枝からちっぽけな紅い新芽が吹き出してきました。外はまだ冷たい大気に包まれていますが、その中で新しいいのちに触れる喜びは、言葉では言い表せないほどの感動があります。
 阪神間は暖かい地域ですから、春も近いわけで、住んでいる地域に感謝しないといけませんよね。南北に長い日本列島では、東北や北陸、北海道など冬が長く雪の多い場所では、四月の下旬まで残雪が残っているそうです。そういう地域に住む人のことを思って、〝春まで寒さに耐えて踏ん張って下さい〟と祈っております。今、仕事部屋に真っ白と薄紅色のシクラメンが置かれています。窓から差し込む冬のを浴びながら元気に咲いてくれていますが、〝心を癒やして下さってありがとう〟と、感謝のエールを送っている昨今です。
 今年に入って特に思うことですが、高次元のひびきに意識を集中することの大事さですね。高次元というと、私達が住む世界は、三次元という縦・横・高さに時間を加えた四次元に住んでいるということです。高次元というと七次元まであるという人がいますが、それは横に置いておきましょう。この世の損得、欲望、我欲を競うことなど全ては、人間を肉体と限定したところから起こる波動なんですね。この状態を離れて、高次元のひびきに入り続けていくことがいかに大事かに、多くの人は心から気づいていないと思いますよ。
 一時いっときだけの心の安らぎとして、音楽や絵画などを愛する人達もかなり多いでしょうが、全身全霊でもって自己を高次元の世界に投入していませんよね。出来ているのであれば、その人は世の人々を高き世界へ導く貴人きじんの生き方をしているでしょう。そういう人が一人でも多く出現するために、私達祈りのメンバーは、日々瞬々「世界平和の祈り」の無限大光明をひびき渡らす日常生活をしております。
 これからの新しい時代は、宇宙の大調和波動に同化して生きることによってのみ、新鮮な智慧によって物心両面の世界を創造していくことが出来るでしょう。現状の世界が行きづまっていることは、誰の目にも明らかですよね。人類が大きく進化して新しい地球世界を創っていくのか、それとも今の惰性だせいのまま進んで世界を滅ぼしてしまうのか。それを決定するのはあなた達一人一人なんです。あらゆることに行きづまった今こそが、大飛躍する最大のチャンスです。谷底へ落下する寸前の今こそ、これまでのいきさつから離れて、新しき世界に飛び込むことが出来るんですね。
 BSテレビで見る寒い地域の光景は、白い雪をいただく峯は寒々しい景色ですが、里山では梅の花が光に向かってほのぼのと微笑ほほえんでいます。何とも暖かさが染みわたってくる風景というのは、中々いいものですね。そういう輝かしい未来が一日も早く、この地球世界に現れることを祈りながら生きることは大きな喜びです。
 私達が住む地球世界、そして宇宙世界はお互いがお互いを支えあって生命の進化の道を歩んでいます。周囲にある全ての生命体が生かしあっているというのは、何と美しい光景かと思います。そう思って周りの色々な生物を見ると、大調和のリズムが躍動しているのが、地球世界の実態だということが実によくわかります。表面の姿だけを本物だと思っているのは、浅はかな考えなんですね。人間も自然界の生き物をいただいて、その存在を保っています。例えば牛を見ると大きな体をしていますが、食べているのは草ですから、草が牛の姿となって存在しているわけですね。他の生き物も全てそうですから、面白いものですね。
 そういう事実を冷静に見ていると、宇宙の一切は渾然一体であって、それぞれが個性をもって、宇宙創造の一端をになっていることが良くわかります。そういう中で生きる人間は、万物の中心者としての責務を果たしていくのが当然ということになりますね。”世界人類が平和でありますように”の祈り心を根本にして、全ての生物の本来の働きが現れることを祈っていくことは素晴らしいを超えた偉大な働きということになります。雄大極まりないダイナミックな宇宙の動きと一つとなって、悔いなき生き方をして参りましょう。
 窓越しに差し込む陽に感謝しつつ 仁川にて
(風韻誌2022年3月号)