「輝く未来へ」  尾崎元海

 秋の夜長は月をでる季節なんですね。古くから日本人は年を分ける基準となっていた月に親しみ、「雪月花」に代表されるように愛してきた歴史があります。月に対して、十五夜を始め様々な呼び名をつけ愛でるという感性は、日本人が持つ特性なんですね。これは月を含めた大自然の生命体を、自己と一つとみなしていたあかしだと思います。そういう事実を見るにつけ、宇宙の大いなる生命との一体感というものを心の奥に秘めている日本列島に住む人々というのは、いかに素晴らしいかを認めざるを得ないと思います。現今の人類が忘れかけている偉大なる霊性の高さを、私達はしっかり思い出し、自己のものとしなければなりません。世界が存続の危機的状況にある今、「世界平和の祈り」を祈る私達が、深く目覚める必要があります。
 話は変わりますが、ついちょっと前まで盛んに鳴いていた、秋の虫達も鳴きやみました。今年も残すところ、二か月半ぐらいとなってきましたね。今年の締めくくりを前にして、五井先生から教わった〝消えてゆく姿で世界平和の祈り〟の真理の道を、魂の奥底まで染みこませなければなりませんよね。
秋というのは新米を始めとした、おいしい食べ物が出回る時期なんですね。私は今はあまり食べませんが、さつま芋や栗を好んでいました。素朴な甘みと自然の香りがあるものが好きだったんですね。人それぞれ好む食べ物は違いますが、できるだけ、その物が持つ自然な味がいいと思っています。くだものは今の時期では、いちじくやぶどう、柔らかめの柿が好きです。そういう食べ物の好みは、育った環境もありますが、過去世というか、特に前生の生き方によって決まってくるんですね。私なんか、前生の生き方が大人になってから仙人のようなものでしたから、ちょっと極端なのかもしれません。
 この時期は里山なんかを巡ったり、刈り取った田んぼなどを見ると気持ちがいいですものね。落ちている稲をついばみにくる稲雀いなすずめの光景は、なんともかわいいもので、童心の心にいっぺんに戻りますよね。時間と体力のある人は、足を伸ばしてはいかがでしょう。晴れている日であれば、降り注ぐ日の光と、青い大空に肉体身のすべてが吸いこまれてしまいますからね。晴れた日が続く日も間近でしょうから、青く澄みきった大空を充分に眺めていただきたいですね。天空からは陽気という生命エネルギーが絶えず降り注いでますから、大きく呼吸をして神さまからのエネルギーを吸収しないともったいないですよ。
 とにかく、陽気という尊い賜物たまものをありがたく頂戴ちょうだいすることですね。その習慣をつければ、〝ああ、ありがたい。ありがとうございます〟のひびきが内から自然に湧き出してくるはずです。明るくなりたい人、自由で伸びやかな心になりたい人、雄大で活気に満ちた人になりたい人は、こぞって天を仰ぐ生活をして下さい。神さまのみ心と融合する最もやさしい方法ここにあり、ということですね。論より実行です。真理の道はいとも簡単なんですが、素直に実行し続けていかないと合点がてんがいきませんからね。
 大地に対しても心の手を合わせていくことです。この天(大空)と地(大地)に心からの感謝ができるようになれば、理屈を超えて大自然のいのちと一つになっていきますから、どうぞ挙って実践していって下さい。自然界は本当にありがたいものなんですね。肉体の自己が一人で生きていると思いこんでいる人は、気の毒な人で、いかに物質的に豊かになったとしても、真の幸せを味わうことはできません。逆立ちして生きているわけですから、時が経てば大変なことになってしまい、失意のどん底に落ちてしまうでしょうね。
 真実は大自然の万物に支えられて生きているんです。多くの自然界のいのちが私達に素晴らしい光とパワーを与えて下さっています。宇宙万物の大いなる生命と人間生命は一つに繋がっているのです。そのことを体覚するために人間はこの世に誕生したわけですから、この根本に沿って生きていくことこそ、真の幸せの道なんですね。真の幸せを実感する道を歩むことができてこそ、過去世からの何百生、何千生の歩みを生かすことができるんです。まずは、人生の第一義であるこのことを体得しなければなりません。
 さあこれからが次の段階に入っていくわけで、魂が歩むステージがだんだんと上がっていくんですね。できるだけ早く、人類一人ひとりが一段高いステージに上がっていく必要があります。今や地球世界の古い肉体人間観は、だんだんと消え去り、人間は光り輝く生命であるとの新しい生命観が、あらゆるところから生まれてきているのです。どうぞ、一人でも多くの人、ご縁のある人に真理の道をお伝えになって下さい。そのためには、自己がどこまでも光り輝いていくことですね。光明一元の道を力強く生きて下さい。皆さんは神さまの生命であり、どこまでも神々さまと一緒なんですから……。幸せを祈り続けております。
 輝く未来を信じて 仁川にて
(風韻誌2022年11月号)