「来(きた)るべき新年に向かって」  尾崎元海

 晩秋から初冬へ、そして本格的な冬の季節を迎える今というのは、自然界の美を深く実感でき、生きていることを深く考えさせられる時です。美とは愛と調和の現れですが、自己の心の中にある大いなる美という力を、どう受け取っていくかをしっかりと実感していきたいと思いますね。少し前から山茶花さざんかが花弁で散り始め、木の下は一面花びらでめつくされています。太陽の木洩こもれ日がかえでを輝かせていますが、太陽の光と楓の美しさは、神さまが表現する天然の美そのものですね。我が家の楓は、早く散ったものもあり、紅い色いっぱいのもあり、まだ緑の葉が半分以上のものもあって、楓の様々な姿に感じ入るばかりです。
 木槿むくげやけやきの黄色い葉は大方散り、冬木立になってきました。その中で、野菊の濃い赤紫の色合いと、赤い実をいっぱいつけた南天の緑色の葉との対照美は、いじらしさと強い生命力が充満していて、いつも励まされています。お隣との間の狭い場所に植わっている南天の真っ赤な実と緑色の葉っぱのコントラストは、いのちの底知れぬ強靭きょうじんさと素朴な美の姿を通して、我らに生きる原点を教えてくれているかのようです。裏庭にある椿の白い花が咲き出してきました。その椿と葉っぱを落とした冬木立の姿の素晴らしさに、天地の神秘なる力を感じるばかりです。
 もうすぐ令和三年度の新しい年が始まります。今年は特に色々ありましたので、その中で様々な出来事を掴んでいると思います。それら一切を過去世の業生の想念波動として全否定し、全ての想いを「世界平和の祈り」の中にお渡しすることに徹して下さい。これは私達祈りのメンバーに課せられた第一の使命ですから、本気で実行していただきたいですね。祈る我々を通して、救世の大光明が働いて下さっています。この大いなる真実をより実感あるものにするのは、一人ひとりの自覚しかありません。自覚即ち、みずからが自らの役割を百パーセント認めきるだけなんですね。何事もそうですが、自分が認めた通りのことが、自己の人生となって開いていきます。各人に与えられた役割は必ず完うされるのが、神さまのご意志ですから、堂々と生きることですね。人間の大本は大生命(神)であり、この大生命は大愛であり全能者なんですから、私達は元々絶対大丈夫な存在なんですね。その御力によって万有万物は存在しているわけです。
 それと私達「世界平和の祈り」をする人達には、五井先生の大愛なる大光明体が守って下さっています。五井先生がこの世におられた時は、大勢の信徒さんが〝五井先生がいらっしゃるから絶対大丈夫だ〟という深い信を持っていたと思います。今は、五井先生は肉体身を持っておられませんが、おられた時以上に、祈りのメンバーを通して強大な光とパワーを流されているんです。肉体身に対する把われの想いを放てば、その瞬間から、五井先生に対する絶大なる信の心が芽生えてきます。五井先生が肉体身を脱がれたということは、祈りのメンバーを通して、その巨大なる力をより大きく働かせんとする、神さまのお計らいなんですね。もう一度言います。〝五井先生がいらっしゃるから絶対大丈夫。五井先生と共に生きている私だから、素晴らしい力が出てくる〟ということを、大確信していくだけなんです。
 どうしても肉体に執着する想いが強い人は、こう考えていかれたらいいでしょう。肉体身の上に大いなる光明体が乗っかっていると思い、その光明身の更なる上に、無限大の光明波動体が乗っかっていると思うんです。そういう真理の立場に立つと、肉体身はゴマ一粒の大きさなんだなと思えてきます。そして、肉体身にまつわる全ての感情想念(小智才覚の想いや分別心)に対しては、これらは全部、過去世の妄念もうねんであり幻のようなものだと断定することができるようになります。考えてもみて下さい。ゴマ一粒に執着して、巨大な光体の自己を見失うことほど愚かなことはありません。今こそ愚かな自分を離れ、真っ当な真実の自己に戻りましょう。私達祈りのメンバーは、五井先生から大いなる真理を授かったんですね。そのご恩を一生どころか、永遠に忘れることなく進んでいくのが、人間としての道理ですよね。「ご恩うれしやナムアミダブツ」と念仏一念に徹した妙好人みょうこうにんの生き方を見習って、〝ご恩うれしや五井先生〟に徹し、世界平和の祈りをひびき渡らせていかねばなりません。
 窓の外を眺めながら原稿を書いていますと、柔らかい冬の風に吹かれて散ってゆく色々な冬紅葉ふゆもみじが目に入ってきます。〝一葉一葉の葉っぱさん、ありがとうございます。どうぞ天命が完うされますように〟と祈りながら、神さまの妙々なるみわざに、只々手を合わせるばかりです。肉体身はほんの小さな空間にいるわけですが、その中にあって、本体の神さまのみ心が、植物の変化する姿に対して、〝ほんとにご苦労さまでした。これからの天命が無事に完うされますように〟と、祈りの光を現されているわけですね。神さまが多様なみ業を展開されてゆく、この地球世界は美しい星ですよね。今私達は地球の物質界にいるわけですが、実はあらゆる世界に存在しているんだというのが正しいのですよ。大宇宙に遍在する大生命のみ心の中に生きていることを体感しているのが、祈りのメンバーの真実の姿なんです。
 「世界人類が平和でありますように」のひびきは、〝宇宙万物の生命と私は一体です。誠にまことにありがとうございます〟ということなんですね。又、「五井先生ありがとうございます」とは、〝我が内なる神さま、ありがとうございます。常に守って下さっている守護霊さま、守護神さま、ありがとうございます。大生命・宇宙神さま、ありがとうございます〟ということが真実ということになります。そして、〝世界平和を創り上げて下さる五井先生、ありがとうございます〟の感謝の心は根本中の根本ですから、この心を強靭にしてきたるべき新年を迎えていきたいと思います。
 冬の空に感謝しつつ 仁川にて
(風韻誌2021年1月号)