短歌(夏) 安井信子

木漏れ日の緑したたる里山にツクツクボウシの声降り注ぐ

青空に真白ましろの入道雲でて心も青と白に澄みゆく

さざ波の揺らぎのごときヒグラシの清き鳴くに満ちわたる森

木々を見よ白き雲見よ真夏日のあふれるいのちこの星に満つ

目に見えぬ鐘平和をと鳴り響くこの日八月六日九日

(風韻誌2021年9月号)