薬局での勤務を通して F・E
オープンしたばかりの薬局で、管理薬剤師として勤務して一年半になります。職場が自宅から遠いこともあり、朝七時半に家を出て、夜十時近くに帰宅することがほとんどでした。週に数回、事務のパートさんが入ったものの薬剤師は常に一人で、三十枚の処方箋を私一人でこなさなければいけない日が相当続きました。昼食休憩中も、多い時は所用で五回以上呼ばれることもあり、心身を休める時間がないまま、薬を間違いなく患者さんに調剤することで精一杯の毎日が続きました。
「五井先生」の称名に戻ることの一点に気持ちを定めて、仕事にのぞむようにしていました。自宅で座ってお祈りすることができなかったので、晃久さんが紹介して下さった『五井せんせい』(高橋英雄先生著)を通勤電車で拝読していて、五井先生を今まで以上に身近にお呼びすることができました。
最近になり、患者さんが口々に私にお礼を言って下さるようになりました。Aさんは、「この間、薬をもらった時、精神的にすごく辛かったんですが、話を聞いて下さったので、心がとっても楽になり、治療にも前向きになれました」と報告して下さいました。また、年配のBさんは、「先日はありがとうございました。選んで下さったヘルペスの塗り薬がよく効いて助かりました。お医者さんにかかっても全然治らなかったんですよ」と声を掛けて頂きました。また難病を抱えた四十代の女性は、何度か薬をお渡しする時にお話ししているうちに、「腸からの出血が止まり、主治医から、良くなっているので今度は一年後の診療でいい、と言われたんですよ」と嬉しそうに話されました。他にも沢山の患者さんが、わざわざお礼を言うために薬局に来て下さることがありました。
毎日多数の患者さんと接するので、正直なところ会話の内容はほとんど覚えていないのですが、患者さんの表情がどんどん明るく元気になっていかれるのを目の当たりにして驚いています。五井先生の癒やしの光がお出会いする方達に浸透し、時間の経過と共に安心され、症状が良くなっていかれるのだと確信しています。激務だったので、余計なことを考える暇がなかったことがかえって幸いし、「五井先生」の称名に戻ることの大切さを、神様が私に教えて下さったのだと思います。一瞬の気の緩みが医療事故に直結する環境で、ヒヤッとすることも何度かありましたが、五井先生が助けて下さいました。
十二月一日からベテランの薬剤師と事務の方が急に配属されることになり、やっと余裕が持てるようになりました。社内の他の店舗が前年割れで、利益が上がらない中、私の薬局は前年比二三三%と患者さんが増え続けています。
お出会いする方達がどうぞ幸せでありますように、という祈り心で、五井先生が共にいて下さることを益々確信して進んで参りたいと思います。
(風韻誌2017年1月号)