人生の記 尾崎元海

 一月三日
 新年に入りましたが、一日、二日の両日行われた箱根駅伝は良かったですね。今年は青山学院の優勝でしたが、若い人達の全力を尽くす姿には感動するものがありました。駅伝はタスキを次の走者に渡すため、各選手が自己を信じて必死に走るんですね。毎年見ていて思うことですが、人間の魂の長い旅の中、過去世でその時代に生きた人達が、真剣に与えられた役目を果たすことと共通すると思います。本人が気づかなくても、心の奥から湧き出てくる悔いなく生きようという心が、きたる来世の生き方につながっていくんです。
 良き未来を生きる上で最も大切なことは、今を全力で生きることですね。未来の幸せというのは、今この瞬間を大事にして、生命を輝かすことにあるんです。今というのは、守護神様が必要があって、ある環境、ある場所に置いて、その人の魂をきたみがきあげるわけです。ですから、どの環境であっても、一心に生きなければいけないんですね。そういうことを、改めて自覚させられた箱根駅伝でした。

 一月十日
 一日に起きた石川県のマグニチュード七・六の地震は大きな被害が出ているようですね。阪神淡路や熊本は七・三でしたから、それらの二倍以上のエネルギーだったそうです。そういう中での避難生活をされている方達の生活は、高齢者の人が多いようですから、本当に大変なことと思います。ニュースの画像で、小学校の高学年の子供達が高齢の人を助けている姿を見ていると、熱いものがこみあげてきます。
 地震直後から今もそうですが、水が極端に不足していて、おまけに電気やガスも充分ではなく、食料も満足にない状態ですから、本当にきびしいですよね。水が充分でないことの不自由さは、そういう環境ではない者には全く実感が湧きませんからね。特別なことが起きないかぎり、水があるのは当たり前だと誰もが思っているわけで、水に対する感謝の心が足らないというか、ほとんど無いという人もいることでしょう。
 この〝当たり前じゃないか〟という想いは、水だけではなく、あらゆることに通じている、強い習慣性の想念ですね。大地に感謝し、水に感謝し、あらゆる物事の背後に働く神様に感謝し、万物の生命に感謝すること。そして自己の奥に働いておられる光り輝く全能全智、完全無欠なる生命への全感謝の心が絶対に必要ということになります。とにかく、様々な出来事から、自己の生き方の甘さに気づかされる毎日ですね。

 一月十七日
 この日がくると、阪神・淡路大震災のことが思い出されます。今年で二十九年目になるわけですが、一日の石川県の大地震もありましたから、地震による犠牲者の方々の天命完うを祈る気持ちが、例年より強くなりましたね。
 日本列島はどこにあっても、ある程度の大きな地震があると専門家が言っていますように、普段から「日本列島の大地と周辺の海底の祈り」をしていかなければなりません。大地への感謝、海底への感謝の心が、大きな災害を小さなものにしていきますからね。大地に感謝することによって、神様の大調和の光が地下の断層に浸透していくんです。
 物質の全ては波動で出来ていますので、調和をうながしていきますから、世界平和の祈りを根本にしての感謝の生き方は、大変な威力を発揮するんですね。日常生活の中で地震を防ぎ、あるいは縮小するわけで、まさに祈り一念というのは凄いものです。多くの人々に、この真実を知って頂きたいと思います。

 一月二十一日
 十九日に和歌山県の串本で、梅が咲いたというニュースがあった。明日あたりから関西地方でも数日、寒波がくるそうですが、おおむね暖冬傾向のようですね。梅の便りが各地から聞こえてきそうな時期になってきましたが、ほんとに、〝冬来りなば春遠からじ〟で、本格的に暖かくなるのも、もうほんのちょっとになってきましたね。
 最近は一部を除いて、気温が高くなっているんですが、先日聞いた天気予報のお姉さんが話していたことには、〝ほんまかいな〟と思いました。それは、戦前には大阪で最高気温がマイナス〇・八という日があったそうなんです。私が小さい頃は、冬の早朝というのは、フトンから出るのが本当に冷たかったですね。当時は暖房設備といっても、火鉢が部屋に一つあったぐらいですから、朝の目覚めがきつかったですよ。
 そういうことを言うと、北海道や東北、北陸地方の人からは〝何をそんなことを言っているんだ〟と言われるでしょうね。小学生だったと思いますが、一月から二月にかけては、三十センチぐらい積もった日が何回もありましたね。雪ダルマを作って遊んだ日が思い出されます。良き思い出というのは、いいものだと思いますよ。
(風韻誌2024年3月号)